そえだの勝ブログ

逆・介護保険の講演 ~死生観を考えさせられた新潟県での講演から(1)~

ほぼ毎月のように、逆・介護保険の講演依頼を全国の介護保険関係者等から頂きますゆえ、1期目と異なり2期目は出張が多く、県外(先方の都合上詳しい場所は明かせませんが)の活動も増えてきました。よく「政治家は票にならないことはしない」と言われますが、私の場合、選挙区であるか否かよりも、逆・介護保険が全国に広がり、いずれは介護保険法改正に繋げていくことが自分の志ゆえ、呼ばれればどこでも行きます。今まで、北は青森、南は大分まで行ってきました。

そんな中、先日は新潟県の某自治体にお邪魔してきました。いつも通り、1時間くらいの講演の後は同じく1時間くらいの質疑応答を兼ねたディスカッションの時間となります。すでに逆・介護保険に賛同を示してくださっているから講演に呼ばれるわけで、当日も概ね、賛同者がほとんどでした。

その際、特筆すべきことがあったときに限り、こうしてブログで書くのですが、今回は死生観についてです。今回も鋭くえぐられるような質問が飛びました。それは「逆・介護保険は高齢者を元気にするという点ではよいが、見方を変えれば命を長らえさせることであり、本来あるべきその人の死期をいたずらに伸ばすことになるのではないか」というもの。

「これは一本取られた」という感覚になりました。基本的にピンピンコロリを目指す政策が逆・介護保険ではありますゆえ、「いたずらに死期を伸ばす」というものではありませんが、「長生きして頂く」という点では考えなくてはならない視点です。さらに、重度介護状態の方においても少しでも状態改善を目指す政策が逆・介護保険ですから、その意味では確かにそのご指摘は非常に鋭いものといえます。

そうなると、あるべき人の最期とは、ひいては「本来あるべき死生観とはなんなのか」ということを考えねばなりません。「あるべき最期」というのは極めて曖昧な概念ですが、強いていえば「その人が望む最期」といえるのではないでしょうか。

kitoku_gorinju.png


現状では「人の最期」については「残される親族の意思」ということになるケースが大半です。しかし、実際は「延命治療を行う否か」について、親族が医師から問われたとき、ほとんどのケースでは決断できず、その結果、延命治療を行うことになります。延命治療を行うか否かの決断を家族ができないとすれば、それをしないという選択を医師はとれません。それを行えば訴訟になりかねないリスクが医師には存在します。

もちろん、延命治療は決して否定されるべきことではなく、素晴らしい医療の一つではあります。しかし、現在はほとんどのケースでその選択肢しか取られていないということは考えねばならないと思います。なぜならば、「延命治療を行わない権利」もあるからです。延命治療の代表的な例の一つは、通称スパゲティー症候群と言われるものがあります。腕には多くの点滴を通し、口から食事ができない場合には胃に穴を開け管で直接栄養を胃に送る「胃ろう」を通し、排せつができない場合には前後に管を通して排せつし、呼吸ができない場合は喉に気管挿管をし呼吸を確保するなどといった具合に、体中に管を通すことからそう呼ばれます。

「どんな状態でも生き続けてほしい」と願う家族の気持ちは尊重されるべきである一方、「そこまでの状態になってまで生きなくていい」と考えるご高齢の方も少なからずおられ、私はそのどちらもが選択できるシステム構築が今、重要と考えます。

現状では前者のみの意思が実行に移されることが多く、それはそれで結構なことであるのですが、医療費に目を転ずれば延命治療を行うことによるそれは、年間一人当たり
800-1000万円程度とも言われ、ご家族の負担もその1割ですから80-100万円ということになります。日本では医療費は約40兆円かかりますが、そのうちの約40%は高齢者医療費とされ、その少なくない割合を延命治療が占めるというデータもあります。

無論、このことは私が「延命治療反対」という意味で書いているのではありません。繰り返しになりますが延命治療を希望する方にはその選択肢、一方で「希望しない方がそれを選択できる権利」も尊重すべきという意味で書いています。その環境作りのための方策として自らの考えを述べたいと思います。長くなるのでそれは次回に回します。本来、死生観については一地方ではなく、厚労や文科行政などが関連してきますが、ちゃんと述べている国会関係者を私は見たことがないため(下手をすれば批判の矢面に立つことになるため)、彼らの代わりにご批判覚悟で書いていきます。


カテゴリ:

このブログ記事について

このページは、そえだ勝の公式 Webサイトが2017年4月24日 19:55に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「高齢社会と限られたベッド ~地域医療連携推進法人システムが今月からスタート~」です。

次のブログ記事は「逆・介護保険の講演 ~死生観を考えさせられた新潟県での講演から(2)~」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。